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執筆者の写真Pin-chun Lin

将来、飲めなくなる明前三峽龍井茶を今のうちに、飲もう。

更新日:2023年3月7日


台湾北部の三峡(旧称:三角湧)という所は、台湾緑茶の第一産地として有名です。ここでは、主に炒青綠茶「碧螺春」が作られるが、少し珍しい「龍井茶」も作られています。三峡は、清の時代以来茶の木が栽培され、日清戦争後の日本植民地時代(1895-1945)では輸出用の紅茶や香港で多く消費される「香片(シャンピエン:ジャスミンや金木犀で着香させる用の加工用緑茶)」が生産され、当時東アジアの最大の製茶工場が建てられた歴史がありました。

三井合名會社在三峽大豹溪旁設立大豹製茶工場。(翻攝自《三井の茶業》)
日本植民地時代にて三井合名会社が三峽で設立された製茶工場(《三井の茶業》より )

日東紅茶包裝實況,為台灣紅茶打響國際名號。(翻攝自《三井の茶業》)
輸出用の日東紅茶の三峽茶工場にて。(《三井の茶業》より)

緑茶を作り始めたのは、戦後の50年代から。戦後台湾に来た中華民国政府の官僚たちは、当時の大統領蒋介石さんと同じ出身(浙江省)の方が多く、中国の十代銘茶でもある、浙江省杭州市にある西湖龍井茶が恋しく、大きな需要がありました(その人口はおよそ102万人もいました)。しかしながら、中国共産党との内戦が終わったばかりで、離島や沿岸部などでもまだ小さな戦が続いており、台湾海峡両岸の行き来も禁止され、西湖龍井茶を輸入することももちろん不可能でした。したがって、台湾国内で作る龍井茶が求められた結果、香片の産地として有名な「三峡」が挙げられました。

西湖龍井茶の最大な特徴は、極若い新芽を多く使う(一心一葉)こと、そして丸い中華鍋の中で手で茶葉を軽く扁平に潰しながら乾燥させていくため、「殺青」という熱で酸化酵素を失活する工程が、整形と一緒に行われ、整形しながら酸化がある程度進み、茶葉の色は少し黄色になっています。三峡龍井茶の作り方は、先に釜炒りの工程で殺青してから、約100度の鉄板の上に、手で潰しながら整形しているため、西湖龍井茶よりも色が緑であります。

鉄板の上で扁平に潰された三峽龍井茶の製茶工程(引用戴文祥老師的茶園照片)

戦後の50年代〜70年代は、三峽龍井茶の一番人気な時期であり、当時は三峽の町中で台湾唯一の生茶葉取引市場というものもあったほど、熱賑やかでした。しかしながら、龍井茶を飲むほとんどの人は、戦後に台湾に来た中国人しかいなかったため、彼らが亡くなったことと共に三峽龍井茶の需要もなくなり、今では極少ない製茶の職人でしか作られていません。味の強い緑茶よりも、味がまろやか な烏龍茶の方が、台湾人に好まれるため、台湾の中部地方の大きなお茶産地と比べ、三峽の生産量は90年代より、2500㌶の茶畑の面積より250㌶になってしまい、手摘みでしかできない龍井茶も、人件費の高騰、若者が都市に出稼ぎに行って人手不足などの問題で、生産量が非常に少なくなりました。恐らく、早くて10年後には作れる人がいなくなり、三峽龍井茶が飲めなくなると言われています。また、新鮮のうちにしか飲めない緑茶ですので、今のうちにできるだけ残りわずかの職人さんが作った龍井茶を飲みましょう。

手作業ができる職人が少なくなっている三峽龍井茶の製茶工程(引用戴文祥老師的茶園照片)

この地で栽培される茶の木の品種は、ここでしかない在来種の「青心柑仔」で、三峽産の緑茶、烏龍茶、紅茶は全てこの品種で作られています。余韻に柑橘系の皮の香りがするのが特徴で、緑茶のほろ苦い後味ととても合っています。近年は、無農薬や有機栽培が進められ、ウンカの力を使った東方美人や蜜香紅茶も人気があります。もちろん品種は青心柑仔で他の地域では飲めない味わいです。

青心柑仔茶樹(引用戴文祥老師的茶園照片)

三峽龍井茶の生産時期について、明前茶(ミンチェンチャ)が一番だとみなされます。明前茶とは、二十四節気の「清明」の日(4月5日)の前に作られるお茶のことを示します。他の種類のお茶なら、毎年の一番茶は清明の日に摘み、それから製茶されるが、龍井茶は若芽が多ければ多いほど高級のため、一番茶よりも早く取ることがあります。また、若芽についている毛茸(もうじ、新茶の葉の裏側に生えている産毛のこと)は、乾燥の状態では白っぽく見えますが、お湯で淹れたらホコリのように表面に浮いてくるが、高級茶の証になるため、安心して飲んでいただけます。

若芽だけを使う三峽龍井茶(引用戴文祥老師的茶園照片)

白い若芽に付いている産毛

表面に浮いてくるホコリに似た毛茸(もうじ)

 

オススメの台湾伝統茶菓子

冬は柑橘類が多く生産され、柑橘の保存食も沢山あります(台湾で果物を砂糖で漬けた保存食を蜜餞(ミージェン)と呼びます)。

今回は「桔餅」という、マルキンカンやシキキツ(四季橘)を水飴と砂糖で煮詰めてからゼミドライにし、最後は砂糖をまんべんなくまぶした保存食です。嘉義県の民雄と宜蘭県の礁溪は、台湾で一番有名な生産地で、冬や喉のかゆい春には直接食べたり、お湯で解けたり飲むと咳が治るという民間療法がありました。黄色で「吉」の発音と似ており旧正月の食卓にもよく現れます。また、パウンドケーキなどのお菓子作りにもとても合います。柑橘の皮の香りがする青心柑仔種で作られた三峽龍井茶とベストなマリアージュを演出し、とても美味しくいただけます。

3月号のちょっと台湾、募集始めました! 募集〆切は2月20日まで!

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ちょっと台湾とは、毎月違うテーマとした台湾茶と伝統茶菓子を紹介し、お家で楽しめる台湾茶通信です。

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大事なお知らせです!

▶︎2023年3月より「ちょっと台湾」の楽しめ方を増やしました!✨✨

今まではティーバッグ3つと茶菓子3つでしたが、今月号よりは

A.台湾茶のみ(5g×3袋) NT$270

B.台湾茶(5g×3袋)+茶菓子(3つ) NT$370

AとBのどれも税込・送料込で、今月号の説明書付き(台湾茶の紹介、産地の物語、豆知識あるいはレシピ、淹れ方動画QRcode、ちょっと台湾の音などが含まれる情報誌)


★今月より説明書を以前より読みやすいサイズに飲み方などのイメージ図も多くしました(写真をご覧ください)。



★ちょっと台湾の音とは、台湾茶と茶菓子をいただきながら、BGMとして流していけば「今台湾にいる!」という体験をしていただき、より五感で台湾の一時を楽しんでいただく音楽のプレイリストです。台湾の各地で録音したり、台湾伝統的な音楽を紹介したりして、不定期的に曲を追加しています。

ちょっと台湾の音プレイリストの例

ポイント

▶︎今までと同く台湾茶+茶菓子のセットで購入したい方は、同じ値段で続けられます。台湾茶だけで楽しみたい方は、よりお手軽価格でご提供させていただきます。

A.台湾茶のみ(5g×3袋) NT$270

B.台湾茶(5g×3袋)+茶菓子(3つ) NT$370

▶︎また、ティーバッグよりも「茶葉で淹れたい」という声を沢山いただき、そしてよりSDGsへの貢献のために、新規の方にはティーバッグをなしにし、オプションでお茶パックの追加購入が可能になります。


★なお、既に一年分を購入していただいた方には、ご購入される最後の回まで、今までと同じティーバッグで出荷させていただきます。もし、ティーバッグではなく茶葉で包装してほしい場合はDMやメールでご連絡ください。



 

2023年3月のちょっと台湾

・台湾茶|三峽龍井茶

・伝統茶菓子|桔餅

 

ちょっと台湾|セットの中身

A. 季節の台湾茶(5g×3袋)+今月号の説明書

B. 台湾茶(5g×3袋)+茶菓子(3つ)+今月号の説明書

・ティーバッグができるお茶パック(オプション)

 

説明不足で分かりにくいところがあればいつでもご連絡ください。

応募は専用ページにて、〆切は2月20日まで!

それでは、お待ちしております!



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