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執筆者の写真Pin-chun Lin

【2024年11月号】蜜香美人紅茶で、秋の読書とお茶タイムを楽しもう。

更新日:10月3日

すっかりと秋の気分になり、紅茶が飲みたくなる季節になりました。

今回は、ちょっとレアな品種で作られた蜜香紅茶をご紹介します。

一般的に、蜜香紅茶といえば、東台湾の花蓮が一番有名な産地ですが、ウンカに噛まれた茶葉を使用して作ることで、独特の甘い香りが生まれます。


そうそう、東方美人茶の製茶によく出てくる、あのウンカのことです。


蜜香紅茶は、ウンカに噛まれた茶葉が甘い香りに変化する特性を活かして作られた紅茶です。英語では「Muscatel Black Tea」とも呼ばれ、ダージリンのセカンドフラッシュと同様に、暑い夏に作られるため、ウンカによる影響を受けやすい茶葉が多く生産されます。台湾では、龍眼やライチの花から採れるトロピカルでフルーティーな蜂蜜の風味を「蜜香」と呼ぶが、英語ではマスカット(ぶどう)の香り、と甘い果物を使って表現するのが面白い。

また、ウンカに噛まれたことにより甘い香りがする茶葉を使用し、緑茶、烏龍茶、紅茶などの製茶が全て可能です。近年、茶業改良場は新たな蜜香茶の種類を積極的に開発しており、東方美人茶に加え、蜜香綠茶、蜜香紅茶、貴妃茶、蜜香紅烏龍などが注目されています。

近年は、白茶のブームに乗りさらに蜜香白茶もあります。


各種の蜜香茶の詳しい紹介はこちらのリンクより、以前の記事をご覧ください




ウンカに噛まれた茶葉で作られた凍頂烏龍茶、白茶:


自然農法や有機栽培の茶畑はよく他の植物との共存性が求められる
自然農法や有機栽培の茶畑はよく他の植物との共存性が求められる

1990年代に花蓮県が無農薬農業を推進したことで、蜜香紅茶の生産が盛んになり主要産地となりました。近年はオーガニック、自然農法、環境への意識が高まり、無農薬の栽培によりウンカが増えたことで蜜香紅茶の製造が広がり、現在では三峡、坪林、花蓮、台東、阿里山、梨山など、多くの地域で生産されています。


三峡エリアの在来種、「青心柑仔」種で作られた蜜香紅茶:


 


一番有名な蜜香茶、「東方美人」は、台湾茶の中でも特に高価なお茶として知られています。その理由はいくつかあります。


①ウンカの存在が必要:ウンカに噛まれた茶葉が必要なため、農薬が使えず、生産量が限られています。

②生産の不確実性:ウンカの量や茶葉がどれだけ噛まれるかは予測が難しく、天候や環境条件に左右されやすいです。

③新芽の使用:最高品質の東方美人茶は、一芯一葉の若い茶葉を使用するため、採取できる茶葉の量が非常に少なくなります。最高級の茶葉を600g作るのに5万枚もの新芽が必要です。

④手摘みの作業:茶葉は機械ではなく、熟練の作業員が手作業で摘み取るため、労力がかかります。

⑤製茶の難しさ:傷んだ茶葉を使用するため、製茶の工程が非常に難しく、最高品質の東方美人を作れる職人は少ないです。

⑥栽培地域の限定:最高級の東方美人茶は「青心大冇(チンシンダーパン)」という品種の茶葉で作られ、桃園、新竹、苗栗など台湾の特定地域でしか栽培されていません。

(厳しい東方美人正統派の人は、「青心大冇」種で作らなければならないという拘りを持っています)

こうした条件から、東方美人茶の価格は年々高騰しており、2005年には600gの茶葉が101万元で落札された記録もあります。


ところが、今回ご紹介する「蜜香美人紅茶」は、桃園で栽培された東方美人茶に使用される「青心大冇」種の茶葉で製茶された紅茶。

元々東方美人茶に使う茶葉が、東方美人茶の製茶時期を過ぎてもウンカに沢山噛まれたことで、製茶師の連晏瑩さんが、すぐに茶葉を収穫し、とても美味しい紅茶に仕上げました。

今回のこの蜜香美人紅茶は珍しくウンカによる被害が酷く、甘みは東方美人茶よりも強く、甘い香りがするお茶がお好きな方にとてもオススメです。そして、今年しか作っていないので数量限定でなくなり次第終了になります。


あくまでも個人的な感想ですが、このお茶の香りを嗅ぐのが、クセになりそうな紅茶です。

そして茶葉もオンラインストアにアップしましたが、手軽な値段で東方美人茶の香りが楽しめる点が魅力です。

高価な東方美人茶を日常的に飲むのは難しいですが、この蜜香紅茶なら、毎日のティータイムにぴったりの美味しい紅茶。特に、ビスケットやシフォンケーキに合うと思います。



蜜香がお好きな方に、飲み比べセットもオススメです。


高価な東方美人茶の甘い香りをもっと手軽に楽しみたい方には、ぜひお試しいただきたい一品です。


【種類:蜜香紅茶】

【品種:青心大冇】

【産地:桃園龍潭】

【作り方:ウンカに噛まれてから、紅茶へ製茶】

【製茶師:連晏瑩 】

【生産時期:夏】



 

【月1の台湾茶通信】ちょっと台湾2024年10月号、募集が始まりました!


・台湾茶|蜜香美人紅

「蜜香美人紅」とは、正統派「東方美人茶」専用の品種、「青心大冇」という台湾の西北部で成長される在来種を利用して作られた蜜香紅茶のこと。東方美人と比べてさらに濃厚なトロピカルフルーツの香りと自然な甘みがこれからの秋、冬にピッタリ。


・茶菓子|ドライマンゴー

台湾特産のアップルマンゴー、ドライにしたらさらに甘さもアップ、そして一年中楽しめる。自然にトロピカルフルーツの香りがする蜜香紅茶と相性が良く、無添加で安心な茶菓子。


ちょっと台湾|セットの中身

A.今月の台湾茶(3回分)+月刊誌  NT$270

B.今月の台湾茶(1回分)+茶菓子(1回分)+月刊誌  NT$270

C. 今月の台湾茶(3回分)+茶菓子(3回分)+月刊誌  NT$370

※それぞれ一回のみとサブスクプランが選べられます

■A、B、Cどれも税込‧送料込

■今月号の月刊誌付き(台湾茶の紹介、産地の物語、豆知識あるいはレシピ、淹れ方動画QRcode、台湾音楽のプレイリストなどが含まれる情報誌)


★応募〆切は10月20日まで

★本場台湾より9月末までに発送、日本のお家に10月上旬に届きます


応募専用ページ:



【お知らせ】次回12月号はまた違う品種の蜜香紅茶も紹介するため、11月号を1袋残して12月が届いたら飲み比べをするのがオススメ。紅茶が美味しくなる秋冬、贅沢に蜜香紅茶の飲み比べをしましょう!


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