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執筆者の写真Pin-chun Lin

「客家精神」を生かした、台湾唯一の緊圧後発酵茶「客家酸柑茶」


今まで沢山のお茶を紹介させていただいても、紹介しきれない種類の台湾茶があると、何度も感じていて、ご購入してくださっている皆様にも、多分同じような感想を持っているのでしょう。

今回も、また非常に珍しい、台湾で唯一の「黒茶」でしかも「緊圧茶」である「客家酸柑茶」を紹介します。

お茶の世界では大きく6種類のお茶に分類され、それが

・白茶

・緑茶

・黄茶

・青茶(または烏龍茶)

・紅茶

・黒茶(または後発酵茶)

の6種類になりますが、有名な黒茶は中国雲南のプーアル茶、そして日本でも阿波晩茶・碁石茶等が存在しています。

黒茶とは、他5種類のお茶の製造工程と違い、茶葉中の酵素の働きにより、葉中のカテキン類が酸化する「発酵」ではなく、本当の「微生物」による(正真正銘の)発酵が進んだお茶である。


”一般的な「発酵」とは、微生物の働きによって物質に(人間にとって有用な)変化が生じることを言います。しかし、お茶における「発酵」という言葉は通常と異なる意味で用いられます。茶の場合は、通常茶葉中の酵素の働きにより、葉中のカテキン類が酸化すること。” ——日本茶業技術協会『茶の科学用語辞典(第2版)』(2007)より引用


「緊圧茶」とは、製茶の過程で茶葉を圧縮し固めたものである。

緊圧茶に対して、ばらばらな状態の茶葉を散茶(さんちゃ)と呼ぶ。茶を生産できるのは、温暖で多湿な気候にほぼ限られる。茶が製造されだした当時の輸送技術で散茶を運ぶと、その途上で湿気を吸ったり、運搬中揺られるうちに少しずつ砕けていくなどの問題が発生した。また長期保存も難しい。そうした課題を解消し、保存や運搬を容易にするために圧縮成形されるようになった。


実は台湾でも、緊壓茶の製造は古くから存在し、これは客家の人々が物を大切にする「もったいない精神」から生まれた「酸柑茶」です。

毎年旧正月の期間中、多くの台湾の人々は、通常の椪柑よりもかなり大きい「虎頭柑」という、橙(だいだい)と文旦で掛け合わせた柑橘を数個買って家に持ち帰って、供え台に1か月間置いても腐らない特徴から、お正月の縁起物の飾り物としてよく用いられています。

しかし、その果肉と果汁は酸味と苦みが強いため、そのまま生食にするのには適していません。結果として、春節が過ぎると水分が失われて虎頭柑はしぼんで硬くなり、ほとんどの場合、無情にもゴミとして捨てられます。

そこで、節約と物を大切にする客家の先祖たちは、この浪費を惜しんで、家にあった烏龍茶や紅茶を虎頭柑に詰め込み、紐で結んで蒸し、圧力をかけてから天日干しして水分を飛ばす、といった工程を9回も繰り返す3ヶ月間という長い製造工程を経て、プーアル茶のように硬くて丸い酸柑茶が出来上がります。


★豆知識1:台湾ではもったいない精神を「客家精神」と呼ぶほど、客家民族は締り屋として有名です。

★豆知識2:有名な東方美人茶も実は客家精神を生かした客家村の産物であり、本来虫害されて捨てられるはずの茶葉を、手間をかけても頑張って美味しいお茶にする結果であります。


酸柑茶は5年や10年以上も保存でき、砕いてから淹れると、まろやかで爽やかな味わいがあり、茶の香りと柑橘の香りが微酸性の口当たりを生み出し、咳やたん、解熱、そして胃腸の消化にも効果があると言われています。

昔薬がなかった時代に、茶葉と一緒に紫蘇や薄荷、生姜などの薬草を一緒に虎頭柑を詰めた酸柑茶は、桃園、新竹、苗栗エリアの客家の家々において、風邪気味になった時や日常的な健康のための必須健康飲料でした。

虎頭柑を乾燥させた皮は、古典文献で言及されている「陳皮」であり、中医学の見解によれば、陳皮は本来咳やたんなどに効果があるとされています。また、虎頭柑の収穫と選別のタイミングには学問があると説明しています。最も良いのは果実が7、8分熟したときに収穫し、最初に室内で数日間置き、柑皮がやや乾燥し、柔らかくなるのを待ってから製造を行うとのことです。

酸柑茶の製造はとても大変な作業であり、最初のステップは果肉をくり抜くことで、特製の金属の円筒を使用して柑橘の頂上に穴を開けることから始まります。注意深く果肉から種を取り除き、挖り出した果肉をフードプロセッサーで絞り、紫蘇、薄荷、甘草などで調理した茶葉と混ぜ合わせ、くり抜いた柑橘に戻します。この時、ぎっしりと茶葉で詰まった柑橘を元の柑皮で覆い、紐でしっかりと縛ります。







次に、蒸し器に酸柑茶を入れ、一度蒸し、一度圧縮し、一度天日干し(またはオーブンで焼く)、再度蒸し、再度圧縮し、再度天日干し、といった「九蒸九曬」の連続した蒸し+干し+圧縮により、酸柑茶は合計9回の工程で完成し、合計で3か月かかります。








最後に硬くなった酸柑茶は、長期間の保存に耐えることができます。滑らかで丸みを帯びた外観は、乾燥し、しっかりと結ばれることで縮小し、紐を何度も取り外す必要があるまで、外観は赤橙色から次第に金黄色、土黄色、深褐色、完全に黒くなるまで変化し、外観は美しい花びら状になります。完成してからはさらに陶の壺に入れて2年以上寝かせていくと、味がとてもまろやかに仕上がり、老茶の香りや味わいも楽しめます。





画面内容提供:桃園市客家文化基金會

詳しくはこちらの動画で観れます▶︎https://www.youtube.com/watch?v=0pKFb95sJeE



製品が硬い石のように仕上がるため、ハンマーでたたき割り、そしてティーポットに入れて熱湯で淹れたり、煮詰めたりしてもできます。また、甘草、桂花、龍眼、菊花を加えたり、一緒に淹れたりすることもでき、酸っぱくて甘い味わいが楽しめます。



最近人気になった小青柑(シャオチンガン)と一番の違う点は、みかんの果肉とジュースは全て捨てずに茶葉や他の薬草と一緒に混ぜて虎頭柑に入れて作るため、陳皮の精油の香りだけでなく、ジュースの甘さと酸味も味わえます。


ハンマーでたたくことが少し手間がかかるため、利便性を求める多くの消費者にとっては、現在は酸柑茶製品の大部分が機械で挽き、ティーバッグにして包装され、都会の働く人たちに大変好評です。


・香り&味わい|柑橘の酸味と甘味、まろやかな紅茶、老茶から生み出された梅干しの香り

・作り方|虎頭柑に穴を開け▶︎果肉を取り出す▶︎果肉をミキサーで細かくして苦味が出る種を取り出す▶︎烏龍茶または紅茶と混ぜ(場合によって薬草も一緒に混ぜる)▶︎果肉に詰め

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し

▶︎蒸し▶︎加圧▶︎天日干し▶︎壺に入れて2年以上寝かせる

・産地|苗栗頭份

・農園|養茶三味

・品種|虎頭柑/紅茶 ・発酵|100% ・焙煎|20%

・生産時期|1月~6月

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・台湾茶|客家酸柑茶

もったいない精神を台湾では「客家精神」と呼ばれるほど、台湾の中でも締り屋として有名な客家民族が、客家精神を生かして様々な発酵食の作っています。大変手間のかかった酸柑茶は、陳皮も入っていてとても健康的で昔からの風邪薬としても使われ、長い歴史を持つ台湾で唯一の後発酵茶であります。

・伝統茶菓子|客家地瓜餅

昔の客家村では、あまり高級な食材を使うことがなく、台湾で一番育ちやすいサツマイモとタロイモを餡に使ったお饅頭は、客家の月餅として知られています。素朴で昔ながらの味、酸柑茶と一緒にいただいて客家食品を満喫しましょう。


ちょっと台湾|セットの中身

A. 季節の台湾茶(5g×3袋)+今月号の月刊誌

B. 台湾茶(5g×3袋)+茶菓子(3つ)+今月号の月刊誌

Bのイメージ図

Aのイメージ図

▶︎2023年3月より、AとBのどれも税込・送料込で、今月号の説明書付き(台湾茶の紹介、産地の物語、豆知識あるいはレシピ、淹れ方動画QRcode、ちょっと台湾の音などが含まれる情報誌)


★ちょっと台湾の音とは、台湾茶と茶菓子をいただきながら、BGMとして流していけば「今台湾にいる!」という体験をしていただき、より五感で台湾の一時を楽しんでいただく音楽のプレイリストです。台湾の各地で録音したり、台湾伝統的な音楽を紹介したりして、不定期的に曲を追加しています。




それでは、お待ちしております~

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