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執筆者の写真Pin-chun Lin

【2024年9月号】未公開の希少品種、2028品系を紹介します。

更新日:9月14日


2028品系文山包種茶
2028品系文山包種茶

台湾の茶の品種に詳しい人なら、台茶12号は金萱、13号は翠玉、18号は紅玉などと知っているでしょう。そして、現在公表されている品種は台茶26号まで(2024年6月28日に発表)あります。しかし、長年台湾茶を飲んでいる人は、以前から「28号」を聞いたことがあるかもしれません。


謎の28号

え?まだ26号までしかないはずなのに?

しかもそれは今年2024年に発表されたばかり。

28号は...タイムスリップ???

実は、28号(別名28仔)は2028品系の略称です。


品系とは何か?台茶XX号とはどう違うのか?


一般的に、茶業改良場で行われる品種試験は、異なる父本(茶の花の雄蕊)と母本(雌蕊)から得られた種を用いて数百種の組み合わせを作り、その後の育種を経て、一定面積で栽培し収穫し、茶を作成するまでに数十年かけて評価します。評価基準は耐乾性、耐病虫害性、収穫量、適した茶の種類(緑茶、ウーロン茶、紅茶など)です。


厳密には、「2028」は茶樹品系2028と称されるべきであり、品種ではありません。品種は正式に命名されたものを指し、品系はまだ正式に命名されていないものを指します。品系2028は一般には流通していません。


文献によると、茶樹品系2028は1981年4月10日に品系2027(現在の台茶12号金萱)および品系2029(現在の台茶13号翠玉)とともに命名申請されましたが、品系2028は品系2029と親本が同じであり、特に際立った特性がなかったため、命名されませんでした。


2028と2029(現在の台茶13号翠玉)の親本は同じだけど、風味はどう違う?


同じ両親から生まれた兄弟姉妹のように、両親が同じであっても、それぞれが持つ特徴は異なります。雄蕊と雌蕊の受粉によって繁殖された茶樹の種は、両親が同じでも、それぞれ異なる特徴を持つため、作られる茶の風味も異なります。

これが、現在多くの茶園で「挿し木」の方法が使われる理由です。

種とは異なり、挿し木で繁殖する方法は「複製」に近く、最初の茶樹の「クローン」を作ることで、各茶樹が異なる特性を持つ可能性を最大限に減らします。挿し木で繁殖した茶樹から作られた茶のみが品種特有の風味を保証でき、その品種を名乗ることができます(例えば金萱茶)

茶樹繁殖
茶樹繁殖

挿し木と種子繁殖の違い


では、挿し木ではなく、種子で繁殖させている茶園はあるのでしょうか?

答えはあります。

これが台湾茶界でよく言われる「蒔茶」で、種から繁殖させた茶樹群で作られた茶です。

挿し木の方法とは異なり、種が発芽し土壌に根を張ると、その根系は挿し木よりも深く土壌に浸透します。そのため、特定の品種香(例えば青心烏龍の蘭の香り、金萱のミルク香、紅玉のミントシナモン香など)を強調して持つことは難しいですが、根系が深くなることで、土壌の特性(例えば有名な岩茶など)をより反映し、「茶樹家族」(同じ両親から生まれた兄弟姉妹)の特徴をより表現します。台湾の古い茶園や放置された野放の茶園では、このような種から育てられた茶樹で作られた茶を楽しむことができます。

放置された野放茶園。種が落ちたり自分で繁殖して茶樹群ができる
放置された野放茶園。種が落ちたり自分で繁殖して茶樹群ができる


2028品系の栽培

2028品系は坪林、宜蘭、南投などの地域で小規模に栽培されています。命名されておらず、公式に発表もされていないが、耐乾性、耐病虫害性、風味の良さ、収穫量の多さから、一部の農家が小規模に栽培しています。多くは条形包種や球形、半球形包種に加工されていま

す。

馮懷謹さん
祥泰茶莊馮懷謹さん

2028品系の文山包種茶

今回紹介するのは、隠れた稀少品種「2028品系」で作られた文山包種茶です。

製茶師は、去年ご紹介したジャスミン文山包種茶でコンクールにて金賞を取った馮懷謹さん。


文山包種茶はその美しい花の香りが特徴で、この2028品系の文山包種茶は、台茶13号翠玉と同じ親本を持ち、同じ両親から生まれた姉妹だが、製茶師の腕により風味が異なることとして知られています。今回の文山包種茶は普通よりも発酵度が高く、銀木犀の香りがあり、後味は非常に甘く、水々しいライチと梨のような風味を持っています。温かくても冷たくても美味しく楽しめます。


まだ少し暑いですが、秋に近づく9月、美しい花の香りが広がる文山包種茶を一緒に楽しみましょう!


 

9月17日は年に一度の中秋節、一緒に客家月餅を食べませんか

9月17日は台湾の三大節日の「中秋節」です。今回は苗栗地域特有の月餅「肚臍餅」を提案します。


戦前、台湾が日本に統治された時代の1905年に、日本の菓子を懐かしんだ日本人が台湾の菓子職人に作らせたもので、日本のお饅頭に似た茶菓子です。餡は台湾で手に入りやすい緑豆(ムングマメ)やサツマイモを使っています。丸い形から、「肚臍餅=へそ餅」とも呼ばれ、勤勉で倹約な客家人の中秋節の月餅となりました(以前客家酸柑茶と一緒に紹介した地瓜餅=サツマイモ餅も同様に客家人の月餅です)。



台湾の中秋節の月餅は多種多様で、様々な文化を持つ人々が集まるこの島では、異なる種類の月餅が存在します。時間を見つけて、台湾の中秋節の月餅の種類について別の機会で改めて紹介します。

肚臍餅は全て手作りで、時代の変遷により作り手が減少している中、一生懸命に探した結果、今回、日本への空輸が可能な形で作ってくれる職人を見つけました(しかも無添加)。どうぞ、今回の企画内容を楽しんでいただければ嬉しいです!



【月1の台湾茶通信】ちょっと台湾2024年9月号、募集が始まりました!


・台湾茶|2028品系文山包種茶

2028品系の父本と母本はどちらも翠玉品種と同じですが、翠玉とは異なる風味を持っています。これは植物の種とその遺伝子の神秘であり、この品種で作られた文山包種茶は非常に甘みが強く、まだ少し暑さの残る9月にぴったり。



・茶菓子|客家の月餅、肚臍餅

「肚臍餅」の文字通りの意味は「おへそのような形をしたお菓子」で、苗栗地域で日本統治時代に和菓子を基にして発展した客家特有のお菓子。中身は緑豆やサツマイモで作られ、丸い形がへそに似ていることからこの名前が付けられました。また、丸い形が月に似ていることから、後に客家人が中秋節に食べる月餅となりました。

ちょっと台湾|セットの中身

A.今月の台湾茶(3回分)+月刊誌  NT$270

B.今月の台湾茶(1回分)+茶菓子(1回分)+月刊誌  NT$270

C. 今月の台湾茶(3回分)+茶菓子(3回分)+月刊誌  NT$370


★応募〆切は8月20日まで

★本場台湾より8月末までに発送、日本のお家に9月10日までに届きます

一緒に、台湾茶と台湾月餅で中秋節を過ごしましょう!


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