台北101から高速道路を利用して約20分で到着する坪林(ピンリン)は、北台湾で最も有名な茶の町です。標高400メートルに位置し、台北と宜蘭を結ぶ中継地としても歴史があり、湿度が高く茶の栽培に適した気候から、1870年代にお茶の栽培と製茶が始まりました。台湾でも特に歴史ある茶の町の一つです。
2000年に国道5号線が開通するまでは、坪林は台北と宜蘭を結ぶ旅の要所として賑わい、多くの旅人が休憩し商店も繁盛していました。しかし高速道路の開通により、両都市間の移動が2時間以上からわずか40分に短縮され、坪林での立ち寄りが減少。商店の数は減りましたが、現在は台北から気軽に訪れられる週末の観光地として人気があり、小旅行やリトリート目的の人々に親しまれています。
坪林では、台湾十大名茶のひとつ「文山包種茶」が1870年代から生産されており、北部を代表する名茶として「北包種、南凍頂」という茶業界の名言があるほど。文山包種茶は軽めの発酵の進んだ烏龍茶で、花を使わずにお花のような香りが広がるのが特徴です。
よく耳にする「文山包種茶」とは?
「文山」は地名、「包種」は作り方の名称です。かつての文山地域は、現在の台北市文山区、南港区、新北市の新店、坪林、石碇、深坑、汐止などを含む地域で、台北市から最も近い茶産地の一つです。特に南港駅からは車やバスで20分ほどで茶畑に到着し、文山区の動物園駅からロープウェイでアクセスできる「猫空」は鉄観音茶の産地としても知られています。
台北は周囲を山に囲まれた盆地に位置し、淡水川沿いに発展してきました。坪林の茶葉はかつて川を利用して迪化街まで運ばれ製茶されていましたが、20世紀に鉄道が開通すると、都市は山の方向にも広がっていきました。
包種茶の名前の由来
かつては茶葉を保存するための缶や袋がなく、紙で包んで販売していました。「種」は「青心烏龍」という品種の通称で、「包む」ことから「包種茶」と呼ばれるようになりました。
文山包種茶は、茶葉に花を使用せずとも花のような香りが漂う点が特徴です。これは茶摘み後の萎凋(乾燥)工程で、熟練の製茶師が香りの変化を細やかに見極めながら仕上げるからです。天候や茶葉の状態に合わせ、混ぜる頻度や力加減を変え、香りを最適に調整しています。この香り高い製茶方法は、やがて台湾中南部に広まり、高山茶の製法の元にもなりました。
坪林の散策スポット
坪林茶業博物館は、台湾十大名茶や包種茶を紹介する常設展示を持ち、季節ごとに異なるテーマでお茶の歴史を紹介しています。館は茶畑に囲まれており、訪れる人々に癒しのひとときを提供します。また、坪林の山あいの風情を楽しむなら「坪林老街」もおすすめです。
坪林老街では、地域ならではの料理を楽しむことができます。「茶粿(チャグエイ)」というお茶の粉を練り込んだお餅や、お茶を使ったチャーハンや天ぷら、「茶油麵線」と呼ばれるお茶の木の種から作られる油を使った麺などが堪能できます。老舗駄菓子店「祥茂食品」では、包種茶や紅茶の飴、包種茶ヌガー、雪花餅が人気の手土産です。
文山包種茶を購入するなら
毎年4月と11月には、春茶と冬茶の製茶コンテストが開催され、その後5月と12月に新北市政府主催で「新北好茶」という文山包種茶マルシェが開かれます。ここではコンテスト茶や優良賞の茶葉が並び、茶農家が直接出店しているため、茶農家と直接会話しながらお茶を購入することができます。
また、周辺には「金瓜寮魚蕨步道」「北勢溪觀魚步道」「南山寺獅公髻尾山步道」などトレッキングコースも多く、夏は川遊び、冬は椿の花見が楽しめます。
【お知らせ】坪林の1日ツアー、開催します!
今年の「新北好茶」、文山包種茶冬茶のマルシェは、12月7日〜12月8日に、坪林で開催されます。
「台湾茶が好きで、坪林に行きたいけど、どうやって行くのが、いつも悩んでいる」という方が多く、この好機に合わせて坪林茶業博物館も一緒にガイドすることにより、お勉強もお買い物もできる楽しくて充実な1日ツアーを企画したいと思いました。
去年6月に、春茶のマルシェに行って、現場からインスタライブをやったので、現場の雰囲気を知りたい方はこちらで見てください。
皆様の「交通手段」と「コミュニケーション」の問題を解消するために、朝8:30台北101にて集合・夕方の17:30に台北101に戻って解散ということにします(解散後に台北101のB1にあるディンタイフォンに食べに行ってホテルに帰ると、めっちゃ完璧な1日に!笑)。
まず、朝は坪林茶業博物館に行って、台湾茶について詳しく解説します。
常設展で台湾茶の種類、作り方、製茶に使う道具などが紹介されています。加えて私リンが日本語で解説しながら皆様の疑問点などもできるだけ解きます。
そして現在の企画展は、「茶と王」という、歴史上世界各国の王様がどのようにお茶を楽しんでいたのかを詳しく紹介する展示会です。特に中国のお茶の歴史が長いため、500年前からの中国茶の歴史なども学べるし、日本の抹茶の由来、昔の茶道の道具や、宮殿の茶菓子の紹介などを盛り沢山、知ることができます。
私も既に何回か見たので、イアホンガイドを使いながら内容を日本語で解説いたします。
(展示は所々中国語と英語併記)
昼食は、坪林ならではの茶葉料理をいただきます。
天気が良ければ坪林茶業博物館の庭でお弁当を作って食べます(こちらで準備)。
(雨の場合はお店の中で食事をします)
その次は、「新北好茶」の文山包種茶冬茶マルシェに行きます。
場所は例年、坪林茶業博物館の隣にある大きな広場で開催。
冬茶コンテストが終わってすぐ、熱々のコンテスト茶や出来上がったばかりの冬茶の見本市でとても賑やかなお祭りであり、文山包種茶はもちろん、加えてこの地で作られた東方美人や蜜香紅茶、さらに地方の農産品や茶菓子なども沢山売られています(農家さんが出店しているため私はいつもここでヘチマスポンジや乾物などを購入しています)。
お茶は、全て新北市政府に登録している生産者が出店し、とても安心して購入できます。
コンテストで賞を取った物も試飲できたりします。文山包種茶がお好きな方には、大変貴重なチャンスであると思います。無理矢理に購入しなくても、行くだけも全然価値があると思います(とは言って皆さんは沢山買ってしまうと思います笑)
現地の人であるこそ、コミュニケーションは任せてください。場合により値段交渉もできたりします笑
賑やかなマルシェで戦ったり、悩んだりすることで疲れると思うから、間に休憩時間を入れます。坪林茶業博物館の庭、または茶畑の側で野点お茶会をやります(雨天の場合は坪林茶産業文化館に行きます。またその日の天気を見て皆様と相談します)。坪林の茶菓子である茶粿(茶葉を生地に練ったこし餡入りのお餅)や包種茶ヌガーなどをいただきながら一旦休憩し、帰る前に買っておきたい商品を考える時間を作ります。また、意見や感想の交換の時間にもなります(見ていなかった、美味しかった、値段が手頃だった、とかの優れた商品の意見の交換)。お茶会の後にもう一度マルシェに戻り、夕方17:00に終了する前に、買わなかったことに後悔のないように、買いたい物を全てゲットしましょう!
最後は、また車に乗って、18:30までに台北101に着いて、解散して終了します!
想像するだけでとても充実な1日になりそうで、何よりも台湾茶の専門家と台湾茶好きな方と一緒に行けるのは、是非逃したくないチャンスだと思います。
新北好茶・坪林1日ツアー
開催日|2024年12月7日、8日
開始時間|早朝08:30
解散時間|夕方18:30
参加料金|NT$5,000(税込)
内容|坪林茶業博物館と新北好茶マルシェのガイドツアー、坪林特有の郷土料理、茶菓子、食文化を紹介。
★台北101⇄坪林の移動手段、博物館のチケット、昼食、お茶会のお茶&茶菓子込み。
全て込みなので、お買い物以外、ほぼお金は使いません。
ご興味のある方、是非専用の応募ページにてフォームを入力して登録してください。
詳しくは、11月7日の夜に、インスタライブにて説明会を行います。
ご興味のある方は、是非観てください。
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